第15章 生まれて初めて
『気に入ってくれてよかったよ!』
「どういう仕組みか気になるな…」
『教えたら楽しくない!』
少女は未来の少年の分霊箱がモデルだとは口が裂けても言えないことだった。
軽い徹夜をして、作り上げた少年へのプレゼントはマグル製品だがお気に召したようである。
「このような仕掛けのものは魔法界にありそうだけど」
『多分ないよ。それに魔法界のものは一々ダサいし、羊皮紙に羽ペンなんて書きづらくて仕方がないもん』
「デザイン性は確かに…」
マグルが嫌いでも見た目にはこだわるのか、魔法界の商品を思い浮かべた少年は渋い顔をした。
『それに魔法界のものは魔法をかけにくいんだよね。何かしらの対策をしてあるのかわからないけど』
「狂わないよう簡単な用途に合わない魔法よけぐらいはしてあるだろうな」
『3年生は選択授業も増えて予定とか大変だからメモ替わりに使ってくれてもいいしね』
「マグルのものを人目に付くところで使うつもりは無い。それにアブラクサスが自身も使っている機能的な手帳をくれた」
杖1振りで予定が入れ替わり時間割ごとの宿題なんかもチェックボックス入で記入スペースがある。
まさにホグワーツ生向けの手帳だ。
少女はホグワーツの他には使えなさそうなので青年のオーダーメイドの可能性があるな、と密かに思った。