第2章 出会う
突然手を引かれ足早に移動し始めた。
『……っ!?』
森に入っていないので危ないところは通っていないのだが、どこに向かうか少女は不思議に思って
……いなかった。
むしろ大きいキャリーを少年がもう片方の手に持っていくれていることに感激していた。
流石好青年、と感心していたぐらいなのだから。
あんな重いのを軽々と、しかもさりげなくスマートに持ってくれている。紳士の国、英国なだけあるなぁ、と1人関心していたのだが…
しかし、しかし歩くのが速すぎる。
これではこちらは小走りを続けなくてはならない。
『ちょ…まっ、ストップ…っ』
ストップというカタカナ英語だったが伝わったのだろうかいきなり少年が止まった。
少年にぶつかりそうになったが何とか衝突を防いで少女はこのすきに息を整えた。
一瞬少年が振り返った。片まゆを上げ少女を一瞥するとブツブツとつぶやき出した。
「……ストップ??あぁ、速すぎたのか。なるほど。コンパスが違うのは大変だな……」
少年は自分の言っていることは少女に伝わっていないと思っているのだろう。
しかし聞くだけなら何故か日本語に聞こえるのだ。
(あしが短くて悪かったわね……!)
心の中で悪態をつきながら軽く睨みつける。
少年は軽く肩をすくめてゆっくりとした歩調で歩き始めた。
肩をすくめる動作がまた美しくって若干見とれていたことはここだけの話。
何がともあれ、言葉が通じないなりにも少女と少年はそれなりに仲良くホグワーツ城に向かったのだった。
【出会う】