第15章 生まれて初めて
少年は少女からクリスマス、誕生日と続けてラッピングされたものを貰った。
俗に言うプレゼントなのだが少年は特に誕生日を伝えた覚えはないし他人に言ったこともないので誕生日プレゼントを貰ったことがない。
どこで誕生日を知ったかなど、少女が別世界から来たことを考えれば疑問を持つことがバカらしかった。
「この手帳はなんだ…」
少年は少女からのプレゼントの一つである黒い表紙の手帳を手に取り思案していた。
中身は特になく、羊皮紙ではない紙である。
明らかにマグルの製品だがとても上品なデザインで良い物だと少年でもわかり、プレゼントというのもあってそれを捨てるというのは気が引けた。
もう一つのプレゼントは万年筆と言われるものだった。
羽ペンより書きやすいが、これもマグルのものである。
「…は?」
万年筆の試し書きはしたがそれは羊皮紙にしたため手帳は未だ未記入のはずだがペラペラとめくっていたら一ページ目に書き込みがあるではないか。
《やっほー。万年筆でこの手帳に書き込んでみて!ヒカル》
〈は?〉
少年が文字を万年筆で書き込むと元々書かれていた文字は紙に染み込むように消え、少年の書いた「は?」という文字のみが残った。
しばらくすると少年の文字が消え、先ほどの筆跡と同じ文字が浮かび上がる。
《2人だけの交換ノート的なのだよ!万年筆で書いたことは相手のノートに写るの。普通の羽ペンとかで書いたものは消えないからね!》
「なるほど…」
少年がもらったプレゼントはマグルの製品だが少女の改良品のようだった。