第14章 ようこそ
「寮からはこの部屋に繋がっていないんだ」
少年はクローゼットに取り付けられた4色のダイヤルを興味深げに眺めている。
『普通にクローゼットに繋がってるんだから勝手に開けないでね』
「君以外の魔力に反応しないようだからそれは心配しなくていいんじゃない?」
そう言って少年はダイヤルをガチャガチャと回してみた。
「それとも僕が勝手に開けるような失礼な人間だとでも?」
『そういう訳じゃないけどさぁ…』
「本棚の趣味もそこそこだね」
『これでも結構揃えたんだけどねぇ』
少女の本棚にはいつの間にか参考用に専門的な本が多く並ぶようになっていた。
本棚を注意深く見ていた少年はぐっと眉を潜める。
「君、マグル学なんて選考してるの?」
『だって、絶対にリドル君は取らないじゃん』
「ッハ。マグル学なんて何を学ぶんだ」
『リドル君が学ばないことを学んどこうかなって思ってさ』
「なんだ、その理由。そんなんでいいのか?」
『だってリドル君に無いもの、欲しいじゃん』
他にも魔法生物学と占い学とってるよ、と少女は朗らかに告げた。
少年は理解できないというふうに眉間にシワをよせた。