第14章 ようこそ
半日前まで遡る。
『なんでリドル君が怒ってるの…』
「本当なら君みたいなチンチクリンのために時間は割きたくないんだ。ヒカル、君がフラフラしてるからあの狸爺に取り込まれてるかと思っただけだ」
『チンチクっ…て、そこまで言う?まぁ確かに声もかけずに出かけてたけどさぁ…』
「昨日の会話を忘れたとは言わないよね?いくら君でも」
『覚えてるよ!夕食一緒に食べようねっていう約束でしょ?』
「約束じゃない。君の言い逃げだ。」
『いーじゃない!夕食の時間に帰ってきたんだから!』
談話室でロンドンから帰宅した少女と少女を探していた少年は言い合っていた。
タイミングよく寮の入口の前でちょうど帰宅した少女と見つからず寮に戻っているかもしれないと思い戻ってきた少年がはちあわせたのだった。
「で、何してたわけ?」
『えっと……』
少女は素直にロンドンにいたとは言えなかった。
何故そこまで出かけていたのか問われるとプレゼントの話までしなくてはいけなくなる。
それだけは避けたいと思った少女の咄嗟についた嘘は
『部屋、部屋にいたの』
「君の部屋はこっちだろう?」
と少年は奥にある女子寮へと続く階段を指さした。
『違うよ。私の帰る場所はこの世界には無いでしょ?だからダンブルドア先生にホグワーツに自室を用意してもらったの』
少年の瞳は普段からしたら少しだけ見開かれ、十分に驚いていることが分かった。
少年はてっきり少女は夏休みなどはダンブルドアの家に滞在するものだと思っていたのだ。
「結構ホグワーツの空き部屋に関しては調べたと思ったけどまだまだみたいだね…」
もちろん今度招待してくれるんだろう?そう問われて少女はうなづく意外になかった。