第13章 聖なる日を前に
『万年筆……』
少女はショーウィンドウに飾られた万年筆に引き寄せられたのだ。
マグルのものなど嫌うかもしれないが少女からしたら羽ペンであの膨大なレポートを書くのが有り得ないので持ち込んだボールペン類は重宝している。
万年筆ならば時代錯誤でもないし一々インクに浸さなくても良い。
勉強熱心な少年にはピッタリだと思ったのだ。
『羊皮紙も書きにくいし予定とかメモ取るには使い勝手悪いからなぁ』
少女はその店の扉を開け店内を見回す。
シックなデザインが多い文房具店であった。
『すみません、あのショーウィンドウにある万年筆って…』
「可愛らしいお嬢様こんにちは。アレかい?うちの中でも最新モデルなんだ。」
戸棚から店主の老紳士が箱を取り出して少女に提示してきた。
確かにデザインは他にある万年筆と比べ繊細で細部までこだわりが見れる。
『色はこれだけ?』
「ああ、あとはこれかな」
二つの箱を少女は見比べる。
そして少年が使用している姿を思い浮かべ、どちらがしっくりくるだろうかと思い悩んだ。
「お決まりかな?」
『ええ。こっちをくださいな。あとこの手帳も!』
少女は黒い手帳を2冊差し出した。
1冊は万年筆ともにそれぞれ包装してもらい、1冊はそのまま受け取る。
「はい、商品だよ。ハッピークリスマス」
『ありがとうございます!良いクリスマスを!』
少女はクリスマスプレゼントを無事に買い終えホグワーツに戻るためパブへといそぐのだった。
丁度少年が見つからない少女に再び苛立ちを覚えていた頃である。
【聖なる日を前に】