第13章 聖なる日を前に
『リドル君ー!!お土産!』
「先輩方おかえりなさい。」
『え、あ、ちょっと!スルーしないでよ!』
少年は少女の突進とも呼べる帰宅を華麗に避け、後から来たアンバーとアンナに笑顔で挨拶をしたのだった。
少年と少女のやり取りに苦笑しつつも彼女達は談話室の暖炉前のソファーに腰を下ろした。
「はい、お土産よ。」
「私からもどうぞ?」
「わざわざありがとうございます。」
「だってあの子のお土産見たらちゃんと買ってあげたくなったんですもの」
「そうね、ある意味ヒカルの影響ね」
『お二人共どういう意味よ!はい、これ。』
「丁重にお断りしまs…」
『返品不可でーす!』
少女はケラケラと笑いながら少年に〝ゾンコの悪戯専門店〟と刻印された箱を渡した。(押し付けたようにも見えたのは気のせいである)
「なんでヒカルはこういうのを選ぶかな…」
『絶対リドル君が手にしたことのないやつを選びたかったの!』
「ああ、君がプレゼントしなかったら一生手にしなかったよこんなモノ」
取り出された箱には〝しゃっくり飴〟と書かれており
少年はおもむろに飴を手に取るとヒカルと声をかける。
『ん?っんあ!』
「アハハ!リドル、いいわね!」
「ヒカル、私達は先に広間に向かいますね。行きましょうアンナ」
『あっ!ヒック!まってよ!!ヒック!』
「次はセンスのあるお土産を待ってるよ?」
『〜〜〜っ!!ヒック!』
「君が僕にくれたんじゃないか」
少年は広間には行かず、ニヤニヤと少女が文句を言いながらしゃっくりをする姿を見ていたという。