第13章 聖なる日を前に
『ん~~!!美味しい!』
外に小雪がチラつくようになり暖を求めて少女達はハニーデュークを早々と出て三本の箒へとやって来ていた。
「泡ついてるわよ」
アンナがハンカチで少女の鼻の頭を拭った。
『アンバーは綺麗に飲むね。』
「そう?鼻の頭に泡をつけられる人もなかなかいないわよ」
「そうね、口元は分かるけど鼻の頭はねぇ」
『美味しく飲めればいいじゃない!』
スパイシーな香りが鼻に抜け体の芯から温まってきた少女達はもう間もなく訪れるクリスマス休暇に心を踊らせていた。
「ヒカルは休暇どうするの?」
『んー…ホグワーツに残るよ。日本は遠いしね。』
「では、プレゼントは寮宛にしますね。」
「アンバーはクリスマスはパーティーでしょ?」
「ええイブがパーティーよ。アンナも是非。来年は招待したいのでヒカルは休暇が開けたらステップの練習ですね」
『やだー!』
「諦めなさい。こうなったアンバーは結構頑固なんだから」
「失礼ですね。英国で過ごすのなら避けては通れないのよ」
『盆踊りじゃダメですかー』
「ボンオドリ?知らないわね。」
「初めて聞くわ!後で談話室で見せてくださいな」
『やだよ、恥ずかし。それに夏限定なんで!』
賑やかなパブの雰囲気に馴染むかのように少女達は時間の許す限り話に花を咲かせていたのだった。