第12章 イタズラ
「ヒカル!おはよう!」
『アンバー、アンナおはようございます!Trick or ...』
「はいはい」
「どうぞ」
二人の友人は少女が言葉を終える前に杖を1振りし少女にお菓子を与えた。
アンバーは羽ペンの形をしたキャンディーを
アンナは1ヶ月は満足に食べれそうな量のカラフルなグミの瓶詰めをそれぞれ少女に渡した。
「食いしん坊のヒカルにはこれぐらいの量を上げないとイタズラされそうだからね」
『アンナ!ひどい、そんなに食いしん坊じゃないもん…』
そうだよね、と同意を求めるように少女はアンバーの方を見つめる。
しかしその期待はあっさりと裏切られた。
「ふふふ。そうねぇ…。私、これ一つじゃイタズラされちゃうかな?」
『アンバーまで!!イジワルするんだったら私のお菓子はあげないから!』
「あら、それとこれとは話が別よ?」
「イタズラをご所望ならいくらでも。
伊達に毎年弟や妹のやんちゃに付き合ってないわよ。」
「ですから…「Trick or Treat?」」
『はい、今朝作ったからまだ温かいと思うよ』
温かなパウンドケーキを2人の手のひらに乗せるとありがとう、貰っとくわ、とそれぞれから言われた。
アンナは若干素っ気ない感じがするものの口角は上がり微笑んでるのを見て少女は満足だった。
少しずつ寮生が起き出したがまだ静かな談話室で少女はハロウィーンの1日を楽しみにしていた。