第11章 馴染む、そして
「学校生活はどうかの?」
芳醇な紅茶の香りを楽しみながら美味しい茶菓子でアフタヌーンティーを楽しむ老人と少女は久しぶりに家族として顔を合わせたのだった。
もちろん2人は変身術の授業で顔は合わせるものの生徒と教師であり、祖父と孫として会うのは実に入学前以来である。
『楽しいです!
アンバーもアンナも良くしてくれるし。
リドル君も話しかけてくれますよ。
……タメですけどね。』
「ほっほっほ。結構な事じゃ。
正直スリザリンなんて意外でのぉ。
心配しておったのじゃ。」
『私も意外でした。
まぁ将来好きな人が入ってくる寮だから
先輩になれて嬉しいですけどね!』
これから迎えるハロウィーンのこと、
クディッチのこと、
その他授業や魔法界に関して少女と老人は言葉を交わした。。
「やりたいことをやれそうかの?」
やりたいこと……。
ブルーの瞳にまっすぐ見つめられ少女は呟いて深く考え込んだ。
リドルは今年から夢、純血のみの魔法界の実現を叶えるため活動を始めるはずだ。
きっとより多くの知識を吸収し信頼を得るのだろう。
少女は自分にリドルが止められるか問うてみた。
『ダンブルドア先生、
私はどう頑張っても私ひとりじゃ
リドル君を止められません。
今も、これからも。』
ブルーの瞳がスッと細まる。
無言で続きを促している。
『私は知識も信念も度胸も努力も
何もかもリドル君に及びません。
だから仲間が出来るまで勉強に専念します。』
「それは逃げ、かね?」
『逃げです。
でも私はきっとリドル君に杖を向けられません。
私は私のエゴで自分勝手で
多くの人々の命を蔑ろにします。
それに私が勝手に運命を変えるのは
なんだか間違ってる気がして。』
そう言って少女は苦笑した。