第10章 そして分けられる
『じゃあ教えてくれるの楽しみにしてるね。
リドル君は私はどこの寮だと思う?』
組み分け、四つの寮に別れて過ごすことになるのだ。
少女は少年しか知り合いがいないのだから当然の如くスリザリン寮に入りたかった。
同じ寮になった所で少年と学年が違うので一緒にいれる訳では無いのだが、他寮に行ってしまうと少年とは確実に疎遠になることが分かっていた。
「ヒカルはアホっぽいからね…ハッフルパフじゃないか?」
鼻で笑ったような口調で答える少年はバカっぽいからスリザリンは無さそうだなと付け足した。
『リドル君は私と違う寮になってもいいんだ!
それにアホじゃないしバカじゃないよ!』
少女はむくれたように頬を膨らませた。
少年は肩をすくめる動作をした後、
「そろそろ着替えないとホグワーツに着くぞ。」
と言っておもむろにローブを纏い、ネクタイを着ける。
『あ、うん…。』
そうだ、着替えなければならない。
カバンの中から制服を取り出した少女は無言で少年を見つめる。
「何かついてる?」
『いや、あの……えっと………。』
着替えるから出てってください、そう消えるような声がコンパートメントの中に落ちた。
同時に少年のため息も落ちていった。