第10章 そして分けられる
「あら、リドル……こんな所にいらしたのですね」
ガラッという音とともに幾人かの女生徒が顔を出す。
皆そろって小奇麗なもとより高級そうな身なりばかりである。
「先輩方、お久しぶりです。何か御用ですか?」
百点満点の優等生の笑顔で答える少年に女生徒達は嬉々として声をかけてきた。
「何時ものコンパートメントにいらっしゃらないのでずいぶんと心配したんですよ。それと、マルフォイ先輩がお探しでしたわ。」
どうやら皆揃ってスリザリンなのだろう。
なるほど、原作通り寮内の団結力…というよりかは外部に対する反抗力が、強い。
『リドル君、行くところがあるなら行っていいよ…?』
少しばかり心細いが仕方がない。
彼には彼なりに付き合いがあるはずだ。
まだ、まだ闇に染まりきっていない2年生の彼には1年間で築いた交友関係があるはずなのである。
それをこのような形で邪魔をしてはいけない。
「ヒカル?また迷子になったらどうするつもりだ。
申し訳ないですが今日は転入生の彼女と城に行きます。たぶん初めてで緊張していると思うので……。アブラクサス先輩にはよろしくお伝えください。」
少々〝転入生の〟に、アクセントがあった気がするのはけして気のせいではないだろう。
そういうことでしたら…と少女を一瞥しながら出ていく女生徒達を少女は申し訳ない気持ち半分面倒臭いことするなよという警戒心半分の気持ちで見送った。
『ねぇ、アブラクサス先輩ってマルフォイ先輩のこと……??』
「なぜ、君が知ってるんだい?……あぁ、知っているんだったね。」
そうだよ、と頷きながら杖を1振りした。
防音か人避けか何かしらの魔法をかけたのだろう。