第10章 そして分けられる
少女は無事発車前に少年の元にたどり着いた。
別れたところまではスムーズに行けたのだがそこからどこのコンパートメントに行ったのかがわからず右往左往していると発車ギリギリになってしまった。
当然のことながら少年に怒られ
「今後1人で知らないところを行動するな」
とまで命令されてしまった始末である。(少年は少女の五つほど年下である)
『リドル君、ごめんってば。』
「…………………。」
発車してしばらくたつが少年の機嫌は悪いままだった。
少女はこれが心配してるのかな、なんてだいぶん都合のいいように捉えていたので、自覚のないままニコニコと少年に謝罪をしていた。
少年は自分が少女を心配していたと気づいてないのでこの人が機嫌が悪いのに笑顔で接してくる少女により苛立ちを覚えてしまうのだった。
「別にもういい。」
『ホントに……?』
「僕がいいと言ってる。」
『リドル君、ありがとう!』
変なヤツだと言われたが少女は感謝を伝えたかった。
心配をしてくれてありがとうと、素直になりきれない少女の精一杯の感謝だった。