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制服少女と赤瞳少年【HP】

第6章 調合とお土産


「ヒカルおるかね?」

廊下の扉からダンブルドアの声がする。

『はい、鍵あいてます!』

散らばった器具を端に寄せ手を軽く水で洗い流す。
少女があわあわと片付けているのを黙って入口で老人は見守っていた。

「魔法薬か!初日にして素晴らしい薬ばかり調合じゃ。後でホラスに見せたら喜んでパーティーに招待すると思うぞ」


瓶に詰められた薬を見てニコニコと笑う。

「そうじゃ、ヒカルにお土産じゃよ」

そう言って包をどこからともなく取り出した。
嬉しいやら申し訳ないやらでなんとも言えない表情を見せる少女だが包を受け取るとおずおずと開き出した。
中身はたくさんの本だった。
ただの本ではない、教科書だ。

防衛術、変身術に魔法薬、薬草学に魔法史、妖精魔法に飛行術、ありとあらゆる分野の三年生までの教科書だった。

『これ……』

「明日は一緒にダイヤゴン横丁に行って杖を買わんと」

こんなにたくさんの本、決して安くはないはずだ。
しかし教科書から専門書など全てこの老人は少女のために揃えたのだ。
普通ならば教科書の販売は夏休み後半だがわざわざ店主に頼んだことは少女は知るよしもなかった。

「こちらの世界の本は分からんだろうから勝手に選んできてしまったが良かったかね?」

ふるふると首をふる少女。胸には大事そうに教科書の1冊を抱いている。

『本当にありがとうございますっ!勉強がんばります…!!』

「良かった、良かった。おぉ、そうじゃ。杖もだがマダムマルキンの所へも行かねばならぬのぉ。」

ほっほっほっ、と目尻にシワを蓄えながら老人はホクホクとした顔で退出をする。

『何から何まで……すみません。』

「ヒカルや。明日はせっかくの孫娘とのデートじゃ。その言葉はちと相応しくないのぉ」

ウィンクを一つ残し今度こそ老人は退散する。

『ありがとうございますっ!』

そう去り際の背中に少女は投げかけたのだ。

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