第5章 新しい生活
『はい』
パタパタと扉に向かうと扉を開けるより前に部屋の中に声が聞こえた。
「ヒカル、扉を開けるでないぞ」
『はぃッ…!?』
少女はまだドアノブにも手をかけていなかった。
しかし先ほど外でノックをした老人、ダンブルドアは今この部屋の中にいる。
少女が軽くパニックになっているとそれを見て楽しんでいるかのように、イタズラの成功した少年のように実に楽しそうに老人は嬉々として種明かしをする。
「クローゼットとわしの部屋を繋げたんじゃよ」
ウィンクがお茶目だからだと許される話ではない。
『ダンブルドア先生…私のクローゼットは………』
「ドアノブを回してココに合わせれば繋がるがそれ以外は普通のクローゼットじゃよ」
ハ〇ルか、と突っ込んだのは少女の心の中だけである。
ご丁寧に色も4色でダンブルドアの所へは青いダイヤルらしい。
緑は自分の寮に、赤はクローゼット、黒は部屋につながっていた。
『部屋、ですか…』
「魔法を自由に使える部屋じゃよ。3年生として入学するならば1、2年生の魔法は習得せんとなぁ」
どうやら勉強部屋のようだ。
魔法を自由に使える部屋はありがたかった。
だがしかし今この老人は何と言ったか。
〝3年生として入学〟と聞こえたのは気のせいか。
『あの…ダンブルドア先生?今なんとおっしゃりましたか…?』
恐る恐る尋ねる、夏休み中勉強漬けは嫌だ……!
「聞き間違え取らんよ、3年生として入学するのじゃ」
『ご冗談でしょうっ!?』
今なら炎のゴブレットでの赤毛の双子の気持ちが分からなくもない。
2年間の魔法を一気に覚えるなど少女の人生史上最も勉強する夏休みになりそうだ。
【新しい生活】