第3章 誓いの剣と口紅と
ノアルールは、かばっとソファーから起き上がると、慣れない煙草の臭いにむせかえる。
―ここは、ギルドの部屋のなか。
ノアルールは目をこすっていると、ガチャンとドアがあく音がした。
ルーラは手袋、上着を脱いでドカッと勢いよくソファーに座る。
ノアルールはびくっとして、ルーラの機嫌を伺った。
「ルーラさん、どうかしました?」
ノアルールはルーラに睨まれた。
ルーラははぁ……とため息をつく。
「政府から依頼を受けて、仕事しにいったのだが、どうやら先客が居たようだ。」
ルーラは聞きたいかと、ノアルールに聞いた。
ノアルールはこくりと頷く。
「―……いや、また今度言う。」
ルーラが黙りこんだとき、グラスがいつの間にかいてノアルールに話をかけた。
「ノアルール、お前に仕事を与えよう。
子どもたちの世話を手伝って欲しいのじゃ。」
ノアルールは、子どもたちの世話?と首をかしげた。
「最近、面倒を見なくてはいけない子どもたちが増えてな、こっちは人手不足なんじゃよ。」
「え??」
グラスは真剣な表情になる。
「お前がお世話になってたとか言っていた協会の子どもたちじゃ。
シスターは、子どもたちを育てる振りをして、大体の大きさに育ったら、バラバラにして臓器を送りだしていたんじゃからなぁ。
あのまま置いとく訳には行かんじゃろ?」
「…そんな!!」
ノアルールは、シスターの所業に驚きを隠せなかった。
「子どもを養子にしたいと言った人に送ったと、前向きはそう言っているはずじゃ。
だが、実際ヤミの方で臓器売買をしていたらしいからのぅ。」
ノアルールはシスターに育てられた1人だったから、あの楽しい日常を忘れられない。
「シスターは優しかったですし、殺す形にしなくても良かったですよね……?」
グラスがアハハと笑い声を上げる。
「そんな甘い事言ってられるか。
優しい人間?
あいつは罪の無い子供を解体してるんだぞ?」
ノアルールはどうしてか、グラスが言った事に対して変だと感じなくなった。
むしろ、シスターの暴走を止めてくれたのだなっと納得している自分がいた。
「あ、そうじゃ、手伝って欲しい事はだな―」
グラスが話を変え、ノアルールと一緒に孤児院となっている部屋に向かった。