第2章 血だらけに染まる足元
ノアルールは、ある人物に手を引かれ意識が戻ったあの部屋に戻ってきた。
ノアルールは自分の服の臭いが気になって仕方がなかった。
人物はようやく口を開いた。
「におい、気になるか?」
ーグラスははぁと大きなため息を付いた。
そして、出てきた扉に鍵をかけた。
「全く、いつになったらあんな汚いごみ溜めがましになるんじゃ…」
「掃除をすればいいんじゃ無いんですか…?」
確かに正論を述べたノアルールは、ギロリとグラスに睨まれる。
ひっと悲鳴を上げたノアルール。
グラスはさらに大きなため息を付いて言った。
「我の年齢、性格からして体力が無いぞ。」
明らか年齢が20代にしか見えないグラスをまじまじと見たるノアルール。
言い訳に聞こえて仕方がなかった。
しかし
(あの状況から掃除)
…とはなかなか上手く行かないんだろうと、ノアルールはグラスに同情した。
「私が掃除しますよ。」
ノアルールは掃除出来るかがとても心配だったが、大丈夫だと思い、グラスににっこりとした。
額に大量の汗を流しながら。
「我も出来れば協力するぞ?
まあ、50にもなるオバンが手伝えるか心配じゃ。」
グラスは普通にさらっと流しながら言った。
「え。
今なんとおっしゃいました?」
ノアルールは目をくわっと開くと、グラスは本気の顔をして繰り返す。
「だからの、50にもなるオバンが手伝えるか心配じゃ、と。」
暫くの沈黙。
瞬間奇声が響いた。
「えええええ!?!?!?」
くらくらと倒れるノアルール。
グラスはフハハハと笑う。
「まあ、我は永遠の20代じゃ♡」
ノアルールはグラスの近くまで来て、じろじろと見た。
「み、みみみ見えない…です。」
「本当か?
嬉しいぞ~!!」
グラスは嬉しくて、ムフフと笑いながらノアルールを抱き締めた。
二人が(一方的にグラスが)抱き締め合ったほのかな雰囲気は、突然消えることになった。
「永遠の20歳なら……
掃除しましょ…?」
グラスは正気を失い、ポケットから小物ナイフをノアルールの胸に刃を向けた。
それと同時ルーラが来て、グラスを抑える。
「ちっ……世話のやける……」
「こやつを狩るんじゃあああアアア!!!」
グラスは乙女とは思えない声で叫んだ。