第2章 血だらけに染まる足元
「ルーラさん、仲間を怪我させたりするなんて酷いです。」
煙草の煙がまうバーみたいな部屋に、ノアルールの声が響く。
ルーラは振り向いて、ノアルールをギロッと睨む。
「うるさい。
貴様に何が分かる。
仕事をしない奴等を叱って何がいけない。」
「わ、私はただ…」
ノアルールは少し怯んだ。
ルーラは無表情で言い続けた。
「お前、貴族のボンボンを見てないな。
奴等は何も仕事をしない、命令のみ。
俺は仕事をしている。
奴等は遊んでいる。
どっちが優秀か、お前には分かるよな。」
威圧をかけられたノアルールはシュンとして、ルーラがカウンターの椅子に座ると、ノアルールは地面を見て立ったまま言った。
「私、仲間の良さ悪さを理解してあげないといけないと思うし、自分の良さ悪さも理解しないといけないと思い……ます。」
ルーラは前を向いてノアルールの言葉に鼻で笑った。
カウンターにいる年寄の男マスターは、カクテルを作っている。
カチカチと音が響くと、暫くしてワイングラスにカクテルが注がれた。
ルビー色に輝くカクテルの入ったワイングラスは、ルーラの手元に近いとこに置かれた。
「ルーラさん、お嬢さんの話は半分あってますよ。」
マスターはルーラに睨まれたが、にこにこしていた。
ルーラはちっと舌打ちし、カクテルを一気飲みほすと、ワイングラスは乱暴に置かれ、ダンッと音をたてる。
そして急に立ち上がり、ノアルールの襟元をつかんで言った。
「正義の味方ぶるんだったら人を殺してから言え。
偉そうに物事をいう身分になりたければ、仕事しろ。」
襟元を乱暴に離されたノアルールはルーラに脅され、うっすらと瞳に涙が浮かんだ。
ルーラはちっとも揺るがず手を離すと、ツカツカと何処かに行ってしまった。
ぐすぐすと鼻をすすったノアルールは、マスターにハンカチを添えられた。
「ありがとう……ございます……」
「涙をこちらでお拭きください。
貴女は悪い事を仰ってはいませんから、自信を持ってください。」
ノアルールは鼻を真っ赤にしてマスタに少し微笑んだ。
すると、ノアルールに近づく人影があった。