第1章 はじめまして
へらへらと笑う私を見て、少しむっとした表情で
「名前、此の前の全国大会良かった」
と姉の一言。
余計な事は言わなくていいのに、落ち着いてお姉ちゃん
「いや、うん、そうかな、」としか言えなくなってしまう。
さすればまたもや目をぱちくりさせている1年生ズ
いや、私もぱちくりさせたいよ、姉の行動に。
「お!名前また全国大会行ったのか!!どうだった?」
嬉々とした表情でスガさんが私に問い掛けてくる。
「準、優勝でした」
へらっと笑ってみせると少し悲しそうな顔をされた。
はて、流石にスガさんにはバレる。
すれば隣から
「お前、何で準優勝でそんなに笑ってられるんだ」
と低い声
「いやあ、全国大会迄行けて私は凄く嬉しかったですし、準優勝ってだけでも凄くないですか」
またへらへらしてみれば更に眉間にシワがよった。
「お前は、そんなんで悔しくないのか」
そう睨まれれば、その時の記憶が鮮明に蘇る。
あの時、残り28秒時点で試合は私が優勢だった。
あと28秒、何とか粘れば勝ちだった。
其処で焦った私に相手の内股が決まった。
何とも呆気ない一本負けだった。
悔しい、悔しくて仕方ない。
全国大会という大きい舞台で、あんな負け方。
「何が、分かるっていうんですか」
「…」
「悔しい、悔しいに決まってるじゃないですか!!!当たり前でしょう!?そんなの!!!!あんな大きな舞台であんな負け方、悔しいですよ!!!!辛いですよ!!!!!でも、でも、泣いたら、行けないんです、」
静まり返るバスの中に響く私の大声、
目に涙を貯め俯く私の頭にジャージを掛けてくれたのは大地さん。
「そうか、頑張ったな」
一言、優しい声色で私に言えば、席を変わるよと言ってくれた。