第1章 序章『Special Birthday』
「よし、全部説明すっから、ちゃんと聞けよ。そしてどんな事実だろうと受け入れろ。俺は嘘はつかない」
「う、うん……」
そこで蓮はユウラに封筒を開けるよう指示した。緊張しているのか覚束無い手つきで封を開けると、中に手紙が二枚、飛行機のチケットが一枚、そして何故かキャンディがひとつ入っていた。読んでみると、レモンキャンディと書かれている。
手紙の方を手に取ってみると、一枚はなにかのリストだ。ユウラはもう一枚の方にゆっくり目を通す。それには、こんな事が書かれていた。
ホグワーツ魔法魔術学校
校長 アルバス・ダンブルドア
マーリン勲章、勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長
最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会員
「親愛なるサエナギ嬢
この度、ホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。教科書並びに必要な教材のリストを同封致します」
ここまで読んで、それが先ほどのリストだと分かる。
「新学期は九月一日に始まります。七月三十一日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。
敬具
副校長 ミネルバ・マクゴナガル」
「……」
「ユウラー。顎。外れてんぞ」
蓮はユウラを見るでもなくそう言った。
「やっ、おっ、あっ、ほいっ」
「うん、落ち着こう」
「なにこのホグワーツって!魔法?魔術?ふくろう便?大体校長アルバス・ダンブルドアってどういう事?さっきのおじいさんじゃない!」
椅子から立ち上がってそう叫び終えた時には、ユウラの息はすっかり上がっていた。
そんな彼女を宥めるかのように、蓮は彼女の肩を優しく叩くと、再び椅子に座るように促す。そして座ったのを確認すると、ゆっくり話し始めた。
「お前は魔女だ」
「へ?」
「で、ホグワーツっていう学校に入学して、七年間魔法の勉強をしてもらう」
「へ?へ?」
「まぁお前あんまり学校行った事ねぇから慣れるまでに時間かかるかもしれねぇけど、心配すんな。で、学校の校長であるさっきのじいさんがお前の言う通り、アルバス・ダンブルドア。魔法界じゃかなり有名な魔法使いなんだ」
「へ?へ?へ?」
「で、それに入ってるチケットで、日本を発つ。いいな?」
「へ?へ?へ?へっ」
「あぁぁぁうるせぇぇ!!!」