第2章 第一章『A Fateful Encounter』
「それじゃあ、次はあなたの番ね。あなたは東洋人みたいだけど、出身は?」
「日本よ」
「日本からは、あなた以外にも来ている人がいるのかしら」
「どうだろう。ロンドンではもちろん日本人を見かけたけど、ダイアゴン横丁ではそれらしい人は見かけなかったわね」
「ひとりで来たの?」
ハーマイオニーは興味津々だ。彼女にとって、日本人は珍しいのだろうか。
「ううん、蓮っていう鴉と二人で」
「鴉なの?」
「でも、蓮は普通の鴉と違うの。妖術なんかも使えちゃうし、人間の言葉も話せるわ。私の、たったひとりの家族なの」
ユウラはハーマイオニーに大変好感を持った。蓮の事を褒めてくれたというのもあるが、「たったひとりの家族」という言葉の意味を汲み取ってくれたのか、両親についての話題には一切触れなかったのだ。
そんな時、ユウラ達のいるコンパートメントの扉が開き、外から少年が顔を出した。肉付きのよい、少々情けない顔をした少年だ。
「ごめん。あの、僕のヒキガエルを見なかった?」
「まぁネビル、またなの?分かった、私も探すわ」
「私も手伝うよ」
「ありがとう!僕はネビル。ネビル・ロングボトムだよ」
そんなこんなで、「ネビルのヒキガエル探し」が始まった。笑い声の響くコンパートメントに乱入するというのは忍びないが、仕方ない。ユウラは、あるコンパートメントの扉をノックすると、開いた。
「急にごめんなさい。あの、ヒキガエルを見ませんでし……げ」
「姫!」
「おお、可愛い子!知り合いか?」
そこにいたのは、先ほど列車に荷物を運んでくれた双子のウィーズリーと、その親友のリー・ジョーダンであった。髪以外真っ白な双子に対してリーの肌は黒く、同じく黒い髪をドレッドヘアーに結っている。
ユウラはすぐさま方向転換したが、双子に止められた。
「逃げないでくださいよ、姫!」
「だぁからなんで私が姫なのよ!」
リーは笑いながらユウラと双子の掛け合いを見ている。
「我々が一生を捧げたいと思ったからです!」
「は、はぁ?」
「美しい黒髪に黒目がちの大きな目!」
「おまけにスタイル抜群!もうこれ一目惚れですよ!」