第2章 第一章『A Fateful Encounter』
ユウラが三十分かけて選んだプレゼントは、腕時計だ。店主は便利な時計だと言っていたが、どんな機能がついているのかは分からない。そもそも時計とは便利なものなのだから、特別な機能がついているのかさえ分からなかったが、デザインが気に入ったのでそれにした。
「ありがとう、大事に使うよ!それじゃあ、僕からも、これ」
「え?」
予想外にもハリーからプレゼントをもらったユウラは驚きを隠せなかった。包みを開けてみると、それは、カメラだ。
「カメラ!わぁ、ありがとう!」
「僕、プレゼントなんて今までした事なかったから、どんなものがいのか分からなくて……それに、安物だし」
「ううん、最高のプレゼントよ。一生大事にする!」
そうして一行は、杖を買いに『オリバンダーの店』へと向かった。
その店は外から見れば建てられてかなりの年月があったであろう年季の入った古い店であったが、中に入った途端、かなりの威圧感に圧倒される。
背中がゾクゾクとして、何かが自分の中で叫んでいるような興奮を感じた。
静けさが漂い、人のいる気配はない。
「留守みたいだな。後にするか」
蓮の提案を三人は飲み、四人はドアの方へ方向転換した。
その時だ。
「いらっしゃい」
思わず四人は飛び上がった。もっとも、蓮は既に飛んでいたのだが。
振り向くと、声の主が笑っている。
「こんにちは」
「そうじゃ。もうすぐお目にかかれると思っていましたよ。ハリー・ポッターさん、ユウラ・サエナギさん」
ユウラは既に自分の名前を知られている事に驚いたが、蓮とオリバンダー老人が目配せし合っているのを発見すると、なんとなく納得出来た。
オリバンダー老人がなにやら思い出話を独りごちながら、ユウラとハリーの利き腕の肩から指先、手首から床、膝から脇の下、頭のまわり……と寸法を測った。と言っても、魔法で巻尺が勝手に測ってくれているので、老人はそれを記録しているだけだ。
「オリバンダーの杖は一本一本、強力な魔力を持った物を芯に使っております。しかし、一角獣だって不死鳥だってそれぞれ違うのじゃから、オリバンダーの杖にはひとつとして同じ杖はないのです……さて」