第2章 第一章『A Fateful Encounter』
蓮が優しくそう言ってくれたし、ハグリッドもハリーも強く頷いてくれたので、ユウラは少しだけ気持ちが軽くなった。
すると、ハグリッドがクィディッチについて教えてくれた。いわゆる魔法族のスポーツで、マグルの世界で言うところのサッカーのようなものらしい。箒に乗って、空中でゲームを行う。ホグワーツでもやるようだ。
ついでに、少年が言っていたハッフルパフとスリザリンについても尋ねてみた。
「寮の名前だな。ホグワーツには寮が四つあるんだ。ハッフルパフには劣等生が多いって言うからその野郎はそんな事を言ったんだろうが、スリザリンに比べりゃ、ハッフルパフの方がマシだぜ」
吐く真似をしながら蓮が言う。スリザリン出身の魔法使いや魔女は多くが悪の道に走ってしまうらしいとの事だが、蓮が毛嫌いするのはそれだけでなく、なにかほかの原因も持っているようだ。
次に教科書を買いに、『フローリシュ・アンド・ブロッツ書店』に行った。ユウラはこんなに大量の本を見るのは初めてで、大概本を読むと頭痛がするのに、そんな事も感じないほど夢中になった。
どれも普通の本とはちょっと違って、興味深い。
それから鍋や秤を買った。魔法薬学に使う道具を買っている間、蓮が終始不機嫌だったので、ユウラは首を傾げた。
「どうしたの、蓮」
「べぇっつにぃー?嫌な奴思い出しただけ」
「あとは杖だな。おお、そうだ。ハリーにまだ誕生祝いを買ってやってなかったな」
ハグリッドが手を叩いてそう言うと、ハリーの顔が赤くなった。「別にいいのに」と呟いている。
「ハリーの誕生日って今日だったのね!」
「うん」
「私もちょうど一週間前だったのよ」
「本当?」
「ええ。あ、じゃあ私もなにかお祝いさせて!」
そう言って笑いながら、ユウラは蓮を連れて一旦ハリーたちと別れ、大通りへ向かった。
「なんでそんなに嬉しそうなんだよ」
「だって、私人にプレゼントをあげるのなんて初めてなんだもん!」
三十分後、二人はハリーたちの元へ戻った。ハリーの手には鳥籠が握られていて、その中には真っ白なふくろうがちょこんと立っている。
「可愛いー!」
「ハグリッドが買ってくれたんだ」
「じゃあ、私からも。はい!」