第2章 第一章『A Fateful Encounter』
「あれ、ハグリッドだよ。ホグワーツで働いているんだ」
「あぁ、聞いた事がある。一種の召し使いだろう?」
「森の番人だよ」
ハリーのその一言には、怒りともとれる感情が込められていた。
「へぇ?言うなれば野蛮人だって聞いたよ。しかも、ペットは趣味の悪い鴉」
「趣味が悪くて悪かったわね。あの鴉は私の家族よ」
ユウラは至って穏やかで、冷ややかにそう言った。
「君たち両親は?どうしてあの人と買い物に?」
「死んだよ」
「おや、ごめんなさい」
ユウラとハリーがため息混じりに声を揃えると、少年は反省の色の窺えない態度でそう謝る。
「まったく、マグルの奴なんか入学させるべきじゃないと思うよ。魔法族の両親を持った純血でないと。彼らは僕らのやり方が分かるような育ち方をしてないんだ。
手紙をもらうまではホグワーツの事だって聞いた事もなかった、なんて奴もいるんだ」
ユウラははらわたが煮えくり返るほどの不快感を覚えたと同時に、またしても不安が募った。ハリーの両親は少年の言うところの魔法族だ。自分の両親は……どうなのだろうか。自分は入学すべきではないのだろうか。
そこで、ユウラとハリーにマダム・マルキンが「さぁ。終わりましたよ」と言ってくれたので、不安はそれ以上大きくならずに済んだ。
「……はぁ」
「どうした?」
ユウラとハリーがほぼ同時に盛大なため息をついたので蓮がそう尋ねたが、二人はただ首を横に振って黙っているだけだった。
ハグリッドと蓮が再び合流し、四人は次に羊皮紙と羽根ペンを買った。
「ねぇ、クィディッチってなぁに?」
「なんと、そうか。クィディッチも知らんのか!」
「これ以上落ち込ませないでよ」
ハリーが、先ほどの青白い顔の少年の話をした。
「その子が言うんだ。マグルの子は入学させるべきじゃないって」
「そもそも、マグルってなに?」
「非魔法族の事だな」
「だが、ハリーはマグルじゃねぇぞ!」
「私は?」
ユウラの思い詰めたかのような発言に、一瞬四人の間に沈黙が走る。
「俺が知ってる最高の魔法使いの中には、マグルの家系が長く続いて、そいつだけがとんでもない魔力を持って生まれたってのもいる。なにも心配する事ねぇよ」