第2章 第一章『A Fateful Encounter』
「うーん…蓮と知り合いみたいだったから、それでじゃないかな。私はみんなそうなのかと思ってたけど…って、あら?ハリー、その傷……」
ユウラは指さした先のハリーの額には、稲妻型の傷がある。
「あぁ、これ。うーん、ちょっとね」
ハリーがそう言ったところで、二人は店の前に到着した。
中に入ると、奥からずんぐりとした愛想のよい魔女が出てきた。「マダム・マルキンだろうか」とユウラは考える。
「二人共ホグワーツなの?」
「あ、はい」
代表してユウラが答えると、店の奥へ案内してくれた。丈を合わせるようだ。
気付くと、既に丈を合わせている最中の少年の姿があった。青白い顔で、銀色の髪を嫌みに伸ばしている。少年は二人の存在に気が付くと、声をかけてきた。
「やぁ、君たちもホグワーツかい?」
「うん」
「ええ」
「そう。僕の父は隣で教科書を買っているし、母はその先で杖を見てる」
聞いてもいないのに突然そう言った少年は、気だるそうな、気取った話し方をする。
「君たち、自分の箒は持ってるの?」
家にある掃除用の箒の事ではないな、とユウラはひとり自問自答した後、首を横に振った。ハリーも同じ動きをする。
少年は話を続ける。
「クィディッチはやるの?」
「ううん」
段々自分があまりにも無知だと恥ずかしくなりながら、ユウラは答える。
ハリーは知っているのだろうか、と顔を見ようとしたが
生憎カーテンに隠れて見えなかった。
「もうどの寮に入るか知ってる?…まぁ、本当のところは行ってみないと分からないんだけど」
ユウラは寮にも種類があるのか、などと考えながら少年の話を聞いている。
「だけど、僕はスリザリンに決まってるよ。僕の家系はみんなそうだったんだから…ハッフルパフなんかに入れられてみろよ。僕なら退学する。そうだろう?」
そうだろう?と聞かれても…とユウラは困った。そして彼が退学を考えるほどまでのハッフルパフという寮の事を想像し、少し不安になった。
「ほら、あの男を見てごらん!」
急に少年が窓の方を顎で指した。ハグリッドが、アイスクリームを持って外でにっこりとこちらを見ている。
思わずユウラも微笑み返した。ハグリッドの肩には蓮もいる。