第2章 第一章『A Fateful Encounter』
胃の辺りをおさえているハグリッドを心配し、蓮が彼に付き添う事になった。ユウラとハリーには場所と行き方を伝え、二人で先に行けとの事だ。
ユウラとハリーを見送ると、二人はゆっくり歩み始めた。
「しかし、あの子が生まれた時から思っちょったんだが、お母さんにそっくりだな。まるで生き写しだ」
「まぁ…な。ところであのハリーってのはやっぱり……」
「あぁ。ジェームズとリリーの子だよ」
「ユウラが生まれたのはハリーの一週間前だし、当然なんだろうけど、なんだかな」
「運命……なんだろうなぁ」
一方ユウラたちは『マダム・マルキンの洋装店』へ向かう道々、ハリーの身の上話に夢中になっていた。
「酷い人たち!」
「うん。だから僕、あの家から出られるのが夢じゃないって分かった時、すごく嬉しかったんだ」
ハリーには、両親はおらず、唯一の親戚であるダーズリー一家に育てられた。
叔父のバーノン、叔母のペチュニア、いとこのダドリーの三人家族であるこのダーズリー家は、とにかく正常である事に異常なまでの執念があった---多少、矛盾しているが---。故に、ハリーが魔法使いだという事も知っていて隠しており、召し使いのように扱ってきたし、亡くなった両親の死因も、交通事故という事にしていた。
詳しくはハリーも語らなかったが、本当の理由はそうでないらしい。
そして十一歳の誕生日、ホグワーツに連れて行くために迎えに来たという男が現れた。
「それがハグリッドね」
「そうなんだ。ユウラは日本人だよね?やっぱりふくろう便が来たの?」
「ふくろう便?」
実はハグリッドは、直接やってくる前に、ハリーが読むまで大量の手紙をダーズリー家に送り続けたという。それも、ハリーが今言ったふくろう便とやらでだ。ふくろう便とはまさにその名の通り、ふくろうが手紙を届けてくれるというもので、魔法界では当然の連絡手段らしい。
「いいえ。私はダンブルドア校長がくれたのよ。手紙と飛行機のチケットと、キャンディを」
ダンブルドアからの手紙に入っていたレモンキャンディ。あれは相当美味かったな、とユウラはそれとなく周りの店を探してみた。
「校長が直々に!?す、すごいね」