第2章 第一章『A Fateful Encounter』
さて、どうやらいつの間にか蓮とハグリッドの間で、一緒に新学期の準備をするという事になったらしい。ユウラはハリーという初めての同年代の友人が出来ると思うと嬉しかったので、異論はない。
そうと決まったところで、蓮が目の前のレンガで出来た壁に向かい合った。
「もしかして破壊でもするの?」
「それも出来なくはねぇけど…意味もない」
そう言うや否や、蓮はくちばしで壁をつつき始めた。ユウラははじめ、なにを八つ当たりをしているのかと蓮を訝しげに見ていたが、なにやらそれは規則的に叩いているように見えてくる。
やがて蓮が、レンガ壁から離れると、轟音と共に、レンガが移動を始めた。その目の前の光景に、ユウラとハリーは息を飲んだ。
三分も経った頃には、そこは立派なアーチ型の入口と化していた。
ユウラの視線の先の看板には、『ダイアゴン横丁』と書かれている。
「すごい」
ユウラとハリーが声を揃えた。
少し歩くと、先ほどロンドンで見たのに近い賑やかな通りが出現し、先ほどパブにいた人々と同じような格好をした者達があれやこれやと買い物をしていた。
どの店のショーウィンドウを覗いても、ユウラにはどんな事に使うものなのか想像もつかないような商品ばかりが並べられている。
「ここで全部揃うの?」
「まぁな」
「まずはグリンゴッツ銀行へ行かにゃ。ダンブルドア先生から頼まれ事をされてるんでな」
「アルバスから?なにをだよ」
「そいつは言えん」
四人がたどり着いたのは、小さな店の立ち並ぶ中、一際大きくそびえ建つ真っ白な建物であった。
そこが銀行なのだと分かり、ユウラは胃の重くなるような不安に駆られたのである。
「どうした、ユウラ」
「ねぇ、蓮。銀行なんか来てどうするのさ。私、お金ないよ」
「あー……大丈夫大丈夫、心配すんな。お前みたいに両親も金もない奴の為のサービスってもんがあんだよ」
「ふうん?」
蓮は不自然にあはは、あはは、あはははは、と笑うと、さっさと中に入ってしまった。ユウラも置いてかれぬようついて行く。
ハグリッドの用事だとかで、彼はハリーと先に行ったらしい。
「ね、ねぇ、なにこの人たち…っていうか、人?」
「小鬼だよ。ゴブリンってみんな言ってるけど。こいつらは銀行員だ」
「銀行員…ねぇ……」