第3章 合宿
「え?!清水先輩、帰っちゃうんですか!!?」
それは、その日の午後練で知らされた。
合宿地から家が近い清水先輩は、仕事を終え次第そのまま帰宅する予定らしい。
友達の言っていた通り、男子大勢の泊まるところに一人、という構図が出来上がってしまった。
「ごめんね、菜月ちゃんもいるしどうしようかなって思ったんだけど…家の都合もあって。」
清水先輩は申し訳無さそうに言う。
別に先輩が悪いわけではないので、逆にこちらが恐縮する。
「い、いえ!気にしないでください。」
「…うん。ちゃんと仕事は終わらせてから帰るからね。」
そう言って清水先輩は仕事に戻っていく。
一人で泊まるからと言って、別にどうということはないはずなのに何故か気持ちが落ち着かない。
男子バレー部だから当たり前なのだけど、男子は皆で同じ部屋で眠れていいなあ、なんて見当違いなことを考えながら、その日は仕事をこなした。