第2章 新生活
放課後。
すぐに体育館にやってきた影山くんを見て、とりあえず今日のところは補講は免れたことを悟る。
心の中で、良かったねと声をかけた。
実際に声をかけないのは、皆に影山くんと話しているのを見られるのが恥ずかしいからだった。
何か勘ぐられても嫌だし、ほとぼりがさめるまでは皆の前で自分から話しかけるのは控えよう。
きっと隙を見せたら月島くんあたりにからかわれるーー
そう思っていたら、ちょうど月島くんが体育館に入ってきた。
私に気が付き、にやりと笑う。
う、嫌な予感…
「お疲れ。昨日は驚いたよ。」
「な、なんの話でしょうか…」
「あーとぼけるんだ。…まあいいけど。君ってさ、ドMだったんだね。」
「ええ?!」
月島くんの言葉に、思わず大きな声を出してしまう。
「だってさー、初めての相手が影山でしょ。あいつ、そっちの方も容赦なさそうじゃん。そういう激しいのが好きなんでしょ?」
話していることは下品なのに、さわやかな笑顔で聞いてくる。
対称的すぎて怖い。
そして月島くんは私に近付き、耳元で囁いた。
「ねえ、教えてよ。どんな風にされたのさ。」
耳元での低音に、体がゾクリとする。
ごまかすために、ついまた大きな声を出してしまう。
「だっ、だからそれは誤解だって昨日も…!」