第2章 新生活
影山くんに追いかけられて余計上がる心拍数。
高校に入ってからドキドキすることの連続で、私の心臓は悲鳴を上げているんじゃないだろうか。
体育館の付近まで走ると、前を歩く菅原先輩を発見した。
足が勝手に急ブレーキをかける。
追いかけてきた影山くんが、急に止まった私に驚いたようで、また怒っている。
「おい、急に止まんじゃねえよ!」
「ごめん…」
その声に気付き、菅原先輩がこちらを振り向く。
私は、菅原先輩と影山くんに挟まれる形になった。
今私は、自分の中で勝手にこの二人と目を合わせられない状況なので、目のやり場に困った。
振り返った菅原先輩は、笑顔でおはよう、と挨拶してきた。
私達二人も挨拶を返す。
「お前ら、ほんとに仲良いなー。今朝も一緒にいたの?」
菅原先輩は、そう言って笑う。
「勉強、教わってました。」
私が何も答えないので、影山くんがかわりに答えてくれた。
「勉強かー。わかんないとこあれば、俺も協力するからな。」
それだけ言って菅原先輩は、また背中を向けて歩いて行く。
私は大きなため息をついた。
「菅原さんと…なんかあったのか?」
「え!な、なんもない。なんもないよ。」
「………。」
影山くんが疑り深い眼差しを向けてきたけど、無視して体育館を目指す。
私にとって、勉強以外の問題は山積みのままだった。