第2章 新生活
学校に着いて、私が影山くんに連れて行かれたのは影山くんのクラスだった。
「今日は練習しないの?」
「……お前に、頼みたいことがある。」
自分の机の中身を探っていた影山くんはそう言って、私の方をちらりと見たあと、そのままこちらに歩いてくる。
え、何。
昨日の菅原先輩の行動がフィードバックする。
「ちょっとじっとしてろ。」
影山くんの言葉に、思わず目を固く閉じる。
影山くんが私の髪に触れた。
もしかして、このままキス……
「髪にごみついてたぞ。」
「…あ、ありがと…」
勘違いした自分が心底恥ずかしかった。
本当に影山くんの言う通り、今日の私はおかしい。
もう家に帰りたいくらいだ。
この調子だと菅原先輩に会ってもおかしな行動をするに違いない。
でも、体調が悪いのとは違い、休めば元通りになるのかが分からないため、部活を休んだりするのもどうなのかと考えていた。
私は平静を装って影山くんに尋ねる。
「それで、頼みたいことって?」
「勉強、教えてほしい。」
「ええ?!」
影山くんには迷惑をかけたので、出来る事なら何でもしようと思っていたけれど、勉強と来たか。
だいたい影山くんの学力の程を知らないから何とも言えないけど、私が教えられるような相手なのだろうか。
「うちの担任、今日から帰りのホームルームで毎日小テストやるとか言い出してよ。7割取れなきゃそのまま補講コースで部活に遅れる。それは避けたい。」
「な、なんで私…?どうせなら進学クラスの子に頼んだほうがいいんじゃない?ほら、月島くんが嫌なら山口くんでもいいじゃん。」
「頼みたくねえ。」
「じゃあ先輩は?菅原先輩とか教えるの上手そうじゃん」
「…バレー部のやつらには頼みたくねえんだよ!」
私も一応バレー部なんだけどな…と思っていると、お前は別だからな!とフォローが入る。
「俺に迷惑かけたと思ってるんなら協力してくれるよな?」
「う、うん…最善の努力はします。。」