第2章 新生活
「…あのさ、俺のことどう思ってるのか知らないけど…」
俺だって男、なんだからな。
そう言って先輩は掴んでいた手首から自身の手を滑らせ、私の手を優しく握った。
もう片方の手は熱くなった私の頬へ。
そしてその手も移動し、ゆっくり顎を持ち上げられた。
真っ直ぐな視線に射抜かれ、身動きできない。
え、え、先輩…?
ゆっくり菅原先輩の顔が近づいてくる。
反射的に目を閉じた。
「…こら。」
ふにっとした感触を感じたのは唇ではなく、鼻の頭で。
恐る恐る目を開けると恥ずかしそうに目を背ける菅原先輩がいた。
指で鼻の頭を押したらしい。
「そんな顔してたら、本当にしちゃうぞ。なんで抵抗しないわけ?」
「えっ……//」
「ドキドキ、してくれた?」
恥ずかしすぎて答えられないでいると、その顔見れば分かるな、と満足そうな先輩。
「俺以外の男にもしこういうことされても、絶対流されたらだめだからな!」
そう釘をさされて、今日は先輩と別れた。
さっき抵抗しなかったのは、流されそうになったからなのか、相手が先輩だからなのか。
自分でもよくわからなかった。