第2章 新生活
「自覚した?」
すぐに声を発することができず、何度も小刻みに頷いた。
「は、初めて何も私、経験ありません…」
「いや、だからさー…そういうことを何で素直に言っちゃうかなあ…」
外灯に照らされた菅原先輩の顔が赤くなっているのに気付く。
「俺さ、菜月見てるとすごく心配だよ。」
歩みは止めないままで菅原先輩は話しだす。
「無自覚で男を煽るようなこと言って、そのうち襲われたりしちゃうんじゃないかって…。今日も及川に気に入られてたみたいだし。」
今日無自覚であんなに恥ずかしい事を言っていた身としては何も反論できない。
「ごめんなさい…」
「謝らなくていいから気をつけよう、な?」
「はい…少なくともこうやって指摘してくれる先輩や影山くん以外の前では気をつけます…」
顔が熱くて、頬に両手を当てていたのだけど、片方の手首をいきなり立ち止まった菅原先輩に掴まれた。