第2章 新生活
偶然の質問の一致に微笑む。
さっき影山くんにした返答と同じことを菅原先輩にも言う。
それを聞いた菅原先輩は、
「優しいやつ、かあ…」
と呟いた。
そして更に続ける。
「なあ、それ、俺は菜月のタイプの範囲に入ってるって思っていいの?」
「え」
突然の速球に思考がついていかない。
「前にさ、俺のこと優しいって言ってくれたじゃん。」
「あ、はい…今でも毎日思ってます。」
「へへっ、よっしゃ。」
無邪気に笑う菅原先輩。
何でそんなに思わせぶりなことばかり言うんだろう。
私ばっかり勘違いしそうで、恥ずかしい。
「でもさ、菜月。今日皆に勘違いされて分かったろうけど、主語がないと前後の会話聞いてないやつに誤解される単語ってやつは確実にあるんだから気をつけろよ。」
「た…例えば?」
「今日で言うと、『初めて』とか『生』とか…あーもう、言ってて恥ずかしくなってくる」
菅原先輩は顔を俯けた。
「意味わかってなさそうだから言うけど、保健体育的な意味に聞こえたんだよ、皆。」
そこまで言われてはっとする。
『私の初めては影山くん。』
『生は初めてだったから。』
一気に顔が熱くなる。