第2章 新生活
呆気にとられた様子の元チームメイトの彼に一言申してから影山くんを追うことにする。
「…影山くんは、よく怒鳴るけど優しいよ。」
「は?影山が優しい!??」
「それじゃ。」
私は影山くんを追いかけた。
追いついて隣に並ぶと、何話してたんだよ、と静かに聞かれた。
「今影山くんはどんな感じなのかって聞かれたから、よく怒鳴るけど優しいよって言っておいた。」
「はあ!??何元チームメイトに恥ずかしいこと報告してくれてんだお前は!!!」
「だ、だって本当のことだし…」
「本当のことじゃねえ!!」
優しいって言われると何でそんなに恥ずかしいんだろう。
クールキャラで決めておきたかったのかな。
それにしても、影山くんが元チームメイトの人に会っても動揺した様子を見せなかったことで、私もとても安心した。
私と影山くんはまだ数週間の付き合い。
一方、元チームメイトは中学時代のほとんどを影山くんとともに過ごした人達だ。
出会ったばかりの私には分からない、知らない影山くんをたくさん知っている。
だから、王様という異名をつけたことについても彼らなりに事情があったんだろうと思う。
そう呼ばれても仕方ないことをしていたのかもしれない。
けれど、私は信じたかった。
高校に入って影山くんが変わってきているということを。
少なくとも私達の前では王様なんかじゃないということを。