第2章 新生活
初めての練習試合は、普段の練習以上に私を興奮させた。
普段テレビで見ていた景色が目の前に広がる。
選手が近い。
スパイクやブロックの音が大きい。
応援の人たちもいる。
入部してから、毎日の練習を見る中でだいぶ慣れたつもりでいたけれど、やはり練習試合とはいえ戦いの場なので雰囲気が全く異なる。
相手チームは強豪の名にふさわしいプレーを見せていた。
先ほどぶつかった彼もコートの中で奮闘している。
時折、影山くんの様子に驚いたような表情を見せていた。
やはり、影山くんは高校に入って少しずつ変わってきているということをそれによって確認する。
なんだか嬉しかった。
試合も終盤に差し掛かる。
勝負は最後まで分からないけれど、このままいけば勝てるんじゃないか。
そう思って戦況を見つめていたら
、急に応援の人たちから黄色い歓声が上がった。
彼女たちの視線を追いかければ、体育館の入口から入ってくる長身の男の人が。
「やっと及川さんが見られるー!!」
喜ぶ女子生徒たちの声から、あの人も選手なのだと分かった。
しかも、すごく優秀な選手なんだろう。
ただ顔が良くてかっこいいだけでは、ああは騒がれないと思う。
すぐに出てくるんだろうな。