第15章 月島くん。
電車に揺られ、目的の駅に着き、降りたところで私は駅の階段を降りて行こうとする、ある人物の顔を見つけた。
思わず声が出る。
「お兄さん!……明光さん!」
私の声に振り返ったお兄さんは、最初こそ驚いたような顔をしたものの、すぐにこちらに笑顔を向けて私の所まで戻ってきてくれた。
どうやら同じ電車に乗っていたらしい。
「久しぶり!どうしたの、こんな時間に……もしかして蛍と待ち合わせ?」
「あ、いえ。ちょっと買い物があって…すぐそこのお店なんですけど 」
「そっか。俺はたまたま休み取れたから、久しぶりにこっちに戻ってきたんだ。」
一緒に下まで行こう。
そう言うお兄さんと話しながら、階段を降りて改札を抜けた。
そして、駅から出ようとしたところで初めて気付いた。
空からは大粒の雨が落ち、アスファルトを叩いている。
先ほどまで雨なんて降っていなかったのに。
ついてない。
買い物が終わって戻るまでの間にやまないようであれば、コンビニで傘を買うしかないな……