第15章 月島くん。
月島くんのおかげで私はバレンタインに向けて俄然やる気を出し、その日から手作りレシピの研究に精を出すこととなった。
地道な試作を積み重ね、満足できるものが仕上がったのは、バレンタインの前日のことだった。
これなら月島くんも認めてくれるかもしれない。
そんなことを思い、浮かれながら包装にとりかかろうとしたところで、気付いた。
包装するもの、全く用意していなかった!!!
今更こんなことに気付く自分に、本当に呆れてしまう。
家の近くのお店はもうとっくに閉まってしまっていたため、割と遅い時間まで開いている大きな雑貨屋さんのある駅まで出ることにした。
その駅は、月島くんの家の最寄り駅だなあ、なんてことを考えながらコートに袖を通し、急いで家を出た。