第15章 月島くん。
「月島くんは、どんなチョコが食べたいかなーって。」
「……何、もしかして作るの?」
「うん。一応毎年作ってるよー。」
「へえ………。」
「な、何………?」
準備の手を止めた月島くんは、私に嫌な笑みを返してくる。
「僕さ、毎年思うんだけど。チョコ溶かして固めただけのもの手作りって言うのって何か違うよね。」
「ま、またそういうことを言う……」
「だってそうじゃない?カカオからでも作ったわけ?って言いたくなる。ドヤ顔で手作りって主張してくる子には特に。」
月島くんには、きっとこれまでもたくさんのチョコがプレゼントされたことだろう。
そういう子達に、月島くんは一体どういう対応をしてきたんだろうか。
表立って言葉にしたかどうかは別にして、本人はこういう考えを持っていたのだから、勇気を出してプレゼントしたであろう女の子に私はつい同情してしまう。
「そ、それさあ……言ってないよね?プレゼントしてくれた子に。」
「言うわけないでしょ。面倒じゃん、もし泣かれでもしたらさ。それに基本的に僕、バレンタインチョコとか受け取らないから。手作りなんて特に。」
「そ、そうなの?お返しとか大変だから?」
「まあそれもあるけど……。何か気持ち悪いじゃん、よく知りもしない相手の手作りなんて。」
「………」