第2章 新生活
午後練の際、武田先生から改めて烏養さんの紹介があった。
烏養さんはこの高校の出身で、おじいさんがとても有能な監督だったらしい。
先輩たちはよく知っている様子だった。
烏野が一度だけ出たという春高バレーへも、その烏養監督が導いたらしい。
今はいろいろと事情があって教えを請うことは難しいそうだ。
そこで武田先生が調べてようやく引っ張って来たのがこのコーチだという。
烏養さんがコーチだと分かった時、影山くんはとても驚いていたけれど、練習を終えた直後にきちんと謝りに行っていた。
そういうところ、しっかりしているなあと思う。
口は悪いけど、先輩や目上の人にはきちんと敬語を使うし、敬う様子を見せる。
これぞ運動部の男子、というところか。
烏養さんの紹介の他に、今日は武田先生からもうひとつお知らせがあった。
何と明日、急遽練習試合が決まったというのだ。
相手は青葉城西高校。
影山くんの元チームメイトの多くが進学した学校らしい。
私は、王様という異名のことを思い出す。
そして、元チームメイトの人に会うことで影山くんが再び傷つかなければいいなと考えながら、彼の横顔をこっそり盗み見るのだった。