第14章 大地さん。
そう呟いた大地さんは、自分の荷物を抱えてから私の後についてきてくれた。
でも、体育館の出口まで来たところで、彼はもう一度コートの方を振り返った。
そして、コートに向かって深く深く、礼。
大地さんなりの別れの挨拶だったんだろう。
それが終わると、
「悪い。早く行こう。」
そう言って私を追い抜いて体育館を出た。
彼がもう二度とあそこに戻ることがないという事実を再認識させられたようだった。
先を行く大地さんを追いかけ、隣に並び、その横顔を見上げた。
私の視線に気付いたのか、大地さんがこちらを見る。
「………お前にそんな顔させちゃうくらい今の俺、ひどい顔してる?」
「……………」
「だとしたら、ちょっと先行っててくれないか。すぐ追いかけるから。」
「え………?」
目の前の大地さんは苦笑を浮かべ、続ける。
「最後まで、あいつらのキャプテンでいたいんだよ。情けないとこ、見せたくないから。」