第12章 影山くん。
「ひどいこと言ってごめんな。でも、さっき言ったこと、ちゃんと考えてほしかったんだ。」
「菅原先輩…あの………」
きちんと伝えなければ。
出会った日から、先輩にもらった優しさ。
私を好きになってくれたこと。
「今まで、本当にありがとうございました。ご卒業、おめでとうございます…」
「ああ、ありがとな!」
先輩の優しい手が、私の髪に触れる。
その手は、軽く頭を撫でるとすぐに離れていった。
爽やかに笑った先輩は、そのまま教室を出て行こうとする。
出入り口のところで、最後に振り返った。
「俺、菜月のことが好きだったよ。誰にも負けないくらい、好きだった。」
幸せになれよ。