第12章 影山くん。
再び教室に一人になった。
外で騒ぐ卒業生の声がする中、先輩の最後の言葉がいつまでも耳に残って離れなかった。
先輩が行ってしまってからも、しばらく私は教室から動けなかった。
校門のところで名残惜しそうにしていた卒業生たちが、少しずつその数を減らしていく。
こうして、毎年この季節が巡るたびに出会いと別れがあるんだな。
なんてセンチメンタルなことを考えていたら、また教室の出入り口に人の気配がした。
視線を向ければ、そこには影山くんの姿があった。
「え…なんで!」
「先輩たちに挨拶しておきたくて。今、菅原さんとも話してきた。」
「…そっか。」
影山くんは私の方に歩いてきて、窓に背を預けた私の隣に並んだ。