第12章 影山くん。
「おい。」
「え?」
「こんなところまで俺に会いに来るってことは、そういうことでいいのか?」
「そういうこと?」
問い返すと、今度は大きなため息をつかれてしまった。
「だから…お前は俺のことどう思ってんだよ。」
影山くんの言葉に心臓が揺れた。
影山くんがいないこの約一週間の間、私はずっと影山くんのことを考えていた。
会いたくてどうしようもなくて、彼のいない毎日をただ持て余した。
そして、帰ってくると聞けばこうしていてもたっていられずにここまで駆けつけてしまった。
答えを出すことから、逃げていただけなのかもしれない。
私はきっと、もう、ずっと前から…
「……好き」
彼の目をしっかり見据えて言う。
少しでも、私の気持ちが届くように。
思えば私の高校バレー生活の始まりは影山くんだった。
影山くんのあの時のジャンプサーブがなければ、影山くんがいなければ、今の私はきっといなかっただろう。
もしかしたら私は、影山くんに初めて会った日から、彼に恋をしていたのかもしれない。