第12章 影山くん。
好きだよ。
好き。
バレーに一途で、一生懸命なところ。
天才だけど、それに甘んじることなく努力を怠らないところ。
不器用で、笑顔も上手に作れないけど、実はとても優しいところ。
本当は誰よりも自分に正直で真っ直ぐなのに、素直に気持ちを表現できない恥ずかしがり屋なところ。
みんなみんな、ひっくるめて影山くんだから。
そんな影山くんのことが、私は………
「私、影山くんのことが大好き。ずっとさみしかっ……」
言葉の途中で、力強い腕に引かれて抱きしめられた。
「………やっとかよ…。もう、嫌だとか言っても離さねえぞ。」
影山くんの胸に顔を埋めて、私はコクンと頷く。
むしろ、離してほしくない。
ずっと一緒にいたい。
影山くんが私の耳元で囁く。
「……俺も、菜月が好きだ。」