第12章 影山くん。
「菜月、元気出せよ!」
練習の最中に、ぼーっとしていた私を見かねたのか、西谷先輩が私に声をかけてきてくれた。
「影山、今日帰ってくるらしいぞ。明日からはこっちの練習来るんじゃねえの。」
西谷先輩の言葉に思わず力が抜ける。
「ほ、ほんとですか……」
「そんな顔してもらえるなんて、あいつは幸せ者だな。」
そう言い残し、練習に戻っていく西谷先輩。
今の話を聞いて私は、はやる気持ちを抑えられずにいた。
だめだ。
明日なんて、待ってられない。
「ごめんなさい、体調が悪いので今日はお先に失礼させてもらいます!!」
そう叫んで、走って体育館を出た。
更衣室で制服に着替えるのももどかしかった。
でも、さすがにジャージで行くわけには行かない。
物凄い勢いで制服に着替えて、学校を出た。
向かう先は、新幹線の停車駅。
何時に帰ってくるのかも知らないし、行き違いになる可能性は充分にあった。
それでも、何もしないで待っているのがもう耐えられなくて、私は最寄り駅から電車に乗る。