第12章 影山くん。
私も、心からそう思う。
でも、正直なところ、こんなに早くそう言ったことになるなんて思っても見なかった。
影山くんの実力ならそう不思議なことではないのかもしれないし、高校生で全日本の代表に選出され、国際試合に出場した選手も過去に何人か見てきた。
それでも、毎日自分の隣で練習して、登校して、勉強して、怒鳴って、笑って。
当たり前のように側にいた影山くんが突然手の届かない遠くの人になってしまったような気がして、私は一人寂しさを抱えた。
影山くんのひとつの夢が叶うかもしれないのに、こんなことを考えてちゃいけないよね。
そう思うものの、心にぽっかり空いた穴は、なかなか塞がることはなかった。
影山くんとの早朝練習がないこと。
コートに影山くんの姿がないこと。
彼の声が聴けないこと。
それらすべてが私の心の穴を広げていく。
影山くんに、会いたいな……