第12章 影山くん。
春高バレーでの活躍を受け、影山くんは全日本男子の監督に認められ、向こうで合宿練習に参加できることになったというのだ。
日本の男子バレーは長きに渡り低迷が続いていて、なかなかオリンピックなど大きな舞台への出場権すら獲得できない状態だった。
人材不足というのが大きな理由なのだろうけど、中でもセッターのポジションは私が小さい頃からずっと同じ選手が務めていた。
年齢も年齢なので、引退の噂が常に付きまとう選手だった。
世代交代。
新しい力を求め、全日本の監督は春高バレーで若い新戦力を探していたのだそうだ。
そこで、もともとセッターとして前評判の高かった影山くんに白羽の矢が立った。
「俺さ、自分が呼ばれなかったのは悔しいけど、正直影山が認められて嬉しいよ。」
日向くんはすっきりした表情で言った。
「あいつなら、きっとやれる。」
「そうだね、影山くんなら、大丈夫だね。」