第12章 影山くん。
授業が終わり、今日も私は体育館へ向かった。
たった3人いなくなっただけなのだけれど、やはり3年生の存在は大きかった。
喪失感は未だ消えず、なかなか元気を取り戻せずにいた。
そんな中、私に追い打ちをかけるような出来事が起こる。
「あれ、影山くんは…?」
もうほとんど集まっていた部員の中に、彼の姿が見当たらない。
そういえば、今日は朝の練習もやらないからと先に断られていたのだった。
朝練にも参加していなかったから、今日は一度も彼に会っていない。
辺りをきょろきょろ見回していたら、日向くんがこちらにやってきた。
「どうしたの?菜月」
「あ、うん…影山くん見なかった?今日、朝練もいなかったよね。具合悪いのかな…」
「え?菜月知らないの?」
私の言葉に日向くんは驚いたように言う。
「え?」
「影山なら、今日から東京に行ってるけど。」
日向くんの言葉に、思わず絶句する。
なんで、影山くんが東京に?
「あいつ、なんで菜月に話さなかったんだろ。」
そう言って日向くんは事情を説明してくれた。