第11章 菅原先輩。
はじめて部屋に来た時以来のキスだった。
あの時と同じくらい、いや、それ以上に先輩の気持ちが流れ込んでくる官能的なキス。
先輩は、やっぱり情熱的な人だなと改めて感じた。
とろけてしまいそうになっていると、ゆっくり唇が離れていく。
「ほんとはもっとしてたいけど、続きは別の場所でゆっくりな」
先輩の言葉に私はまた、頬が熱くなる。
「じゃあ、帰ろう。」
そう言って先輩は私の手を取る。
その優しいぬくもりに、笑顔がこぼれた。
菅原先輩といると私、まるでお姫様にでもなったような気分になる。
大切に扱われて、優しく守られて。
そんな先輩のぬくもりから、私は既にぬけ出すことはできなくなっていたんだ。
「俺、やっと本物になれたな。」
そう言って笑う先輩に、私はまたときめいてしまう。
私が彼女として先輩に向けられる笑顔を幸福に感じながら。